ディープインパクトは有馬記念を勝てない?<井崎競馬史料館>
週刊Gallopに、井崎競馬史料館というコラムがあります。
名前の通り、館長はデータ競馬の第一人者、井崎脩五郎氏です。
彼が、ディープインパクトの有馬記念について、面白いデータを引っ張ってきました。
昭和48年に発行された、「NOWな競馬学」という本がありました。
その中の一章、「八大レースのポイント作戦」に、
有馬記念というレースの特性についてです。
内容について、一部抜粋させていただきます。
中山グランプリともいうように、暮れにその年の日本一を決定するドリームレース。
距離は2500mだが、一流馬にとってはむしろ中距離とみていい。
ひどく疲れるレースである。
4コーナー手前までは長距離並み、最後の2ハロンは短距離レースのような争い。
上がり3ハロンは35秒台の脚が要求される。
1900mの助走のあげく、これだけの脚を披露できる馬というと、
そう多くいるものではない。
したがってこの面での問題はまず考えなくても良い。
どれが一番「得」をしたかという見方だ。
4歳と5歳以上では、5歳以上が優勢。
4歳の一流どころが菊花賞からの遠征帰りとなるからだ。
※旧年齢表記
この本が発行されたのは昭和48年12月1日でした。
その2週間余りあとの12月16日にその年の有馬記念は組まれていました。
中心となる存在だったのが、菊花賞帰りのハイセイコー。
しかし、ハイセイコーは3着に破れ、勝ったのは10番人気の5歳馬ストロングエイトでした。
この時のペースが、1800m通過が推定1.54.7の超スローペース。
上がりは一転、短距離レース並みの35.5(11.9-11.5-12.1)と、
これも本に書いてあったとおりでした。
そして、有馬記念のラストが「短距離レースのような争い」
というのが、極めて重要なキーワードとなっているのです。
過去50年の有馬記念の優勝馬は、短距離レースの経験が必ずありました。
勝ち負けは別として、有馬記念の前に、必ず一度は2000未満のレースを経験しているのです。
そして、ディープインパクトの戦績を見てみると、
全て2000m以上のレースしか経験していません。
このデータに該当しないということになります。
もちろん、競馬はデータが全てだとは思いません。
しかし、50年間ずっと継続してきたデータというのは、
もはやただの統計ではありません。
かなり重要なデータということが言えるでしょう。
稀代の名馬ディープインパクト。
50年もの歴史を誇る厚いデータの壁を打ち破って、
見事優秀の美を飾ることができるのでしょうか。

